2011年12月16日金曜日

不思議の国のM&A



前回の投稿でも牧野洋氏の本を紹介した。

っで、今回も牧野洋氏の本を読んだので、アウトプットの練習として内容をまとめる。
しかし、もう本を図書館に返してしまい、記憶を辿りながらの作業になるので、内容の保証はできましぇん。



この作品は、日本のM&A事情が他の先進国と比べていかに特殊な環境下でなされているのかを示唆している。初めは三角合併を巡って話を展開し、経団連やマスコミが海外のハゲタカファンドに対して過敏に反応することの無意味さ、そして彼らの無知を非難している。



続いて、アメリカで起こったM&Aと日本のM&Aを比較分析している。日本のM&Aが如何に企業価値を無視して、買収プレミアムを設定しているかを説く。それはつまり、日本のコーポレート・ガバナンスが株主利益の最大化を重視しなかったことを意味している。その元を辿ると、株式持ち合いが大きな原因になっている。株主持ち合いによって大株主がお得意先や大手銀行になり、資本経済を無視した行動をとる。



ここで簡単な例を挙げる。AとB2つの企業が株式持ち合いを行なっている。
AがM&AのターゲットにされTOBによってCが一株あたり480円でA株を買い付けると発表。
A株の株価は、TOB発表前400円で推移していた。すると、一株あたりプレミアム80円、つまり株価の20%をプレミアムとして上乗せしている。世界的なM&Aでみると30%前後が適正価格となり、Cの提示価格は世界的には少し低いが、日本では妥当だと言える。
しかし、Aは社風が合わないのでCとの合併を回避することにした。
A側にいるBや銀行は当然のようにTOBには応じず、CのTOBは成功しなかった。



日本がよく悪者に仕立て上げるのはCである。
しかし、実際の悪者はAに居座ろうとしている取締役なのだ。
なぜなら、TOBに応じないということは、プレミアムであった80円を超えるだけの成長を株主に対して取締役達は説明しなくてはならない。しかし、日本ではそれは成されず、やれ企業文化だの、ハゲタカだので責任をなすりつけている。80円のプレミアム、つまり、TOBが成功していたら株主が得る利益を事業によって確約できるのだろうか。
また、Bや銀行もTOBに応じなかった理由を自分の株主説明しなくてはならない。
つまり、Bや銀行がAに対する将来性を合理的に説明し、自己が取った妥当性はどうなのか、それ以上のリターンをAから望めるのかを説明しなくてはならない。


こんな事態が日本では日常茶飯事なのだ。
そんな日本の状況を本書では実際に起こった内容を元に詳細に記していた。

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