2011年12月30日金曜日

ローマ人の物語





最近、ブログの更新が滞っていた。一週間に一度は更新するぞ!っと思っていたけど、前回の投稿から8日過ぎた。
でも、この8日間一度も投稿に手を付けていなかったわけではなくて、付けたけどうまく文章を組み立てることができなかったので公開しなかった。でもまあ、中途半端な形であっても、更新頻度は1週間に一度は頑張って達成したい!

さて、最近のマイブームはローマ人の物語だ。
他の本も色々とつまみ食いしているので、ちょっと期間が空いてしまっていた。

僕は歴史小説が大好きで、今まではもっぱら日本のそれか、中国のを好んで読んでいた。
日本の歴史小説なら司馬遼太郎。
中国の歴史小説なら宮城谷昌光が大好物だ。
そこに、ヨーロッパの歴史小説の牙城、塩野七生さんが新たに追加された。



今までにも書評でローマ人の物語を取り上げたことがあるので内容は割愛するが、今回この6冊の文庫はユリウス・カエサルが主人公だ。
塩野七生さんが原史料に基づいて書いてくいてくれているので、ヨーロッパ史の勉強にもなるので非常にありがたい。
それに、塩野七生さんの脳を経由して伝わってくるユリウス・カエサル像が、とっても生き生きとしており、あたかもユリウス・カエサルと話を交わしているかのような錯覚に陥る。その同年代を生きた、カエサルの友人キケロ。彼の人間味あふれる手紙の往来も紹介されており、広義な意味での小説にしていては勿体無いくらいだ。

僕は、この本がたくさんの日本人に読まれることを望んでいる。
それに、ローマの文化は日本の文化に近いというか、日本人にもわかりやすい。
その理由は2つある。
1,法律を国家運営の柱としている
2,多神教を認めている
1については、今の時代当たり前だと思われるかもしれないが、そうでもない。例えば、宗教を柱としたアラブ周辺国や、まだまだ法律がうまく働いていない新興国等がそれだ。ローマはそれらの国とどのように関係を構築していくか?という問は現代人でも参考になる部分は多いと思われる。
2については、日本人のように米のひと粒ひと粒までに神が宿っているっと思うような人種は世界を見回しても少ないのではないだろうか。西欧のように、すでにキリスト教が普及してしまった人たちからすると、逆に実感としての理解ができないと思われる。この神という存在に対して、そして宗教という信教に対しても客観的に観察できる日本人は、他の信教がある国の人達にどのように接していけばいいのか、っという問題に解決の糸口を与えてくれるかもしれない。

そんな偉大な歴史を残してくれていたローマ、同時代の日本がまだ弥生時代だったことを思うと、愕然とする。


塩野七生さんは参考文献をも列挙してくれている。
そのまえがきとして書かれている内容が、すごく興味深い一文だったので以下に記すことにする。

「言語を使って成される表現は、意味を伝えるだけではなく音声も伝えるものであり、言い換えれば、意味は精神を、語品もふくめた音声は肉体生理を伝えることである。翻訳もこの概念で成されねばならない。私もルネサンス時代を書いていた当時から原史料最優先主義を通しているが、それも、その時代に生きた人々の音声、つまり肉体生理までも伝えたいと願ってきたからである。ただし、読み手に伝える前に、私自身が音声を聴かねばならず、肉体生理を感じ取らねばならない。書き手が感得しないで、どうして読み手に伝えられよう。結果として、この二巻を書くための勉強の大半は、キケロとカエサルの書き遺し言い遺したものの一字一句を、文字どおりなめるように読み、その間もそれをめぐって考える作業、つまり読み込む作業に費やされた。」


この文章を見ると、如何に塩野七生さんがローマの物語を編集するのにあたり、全身全霊を捧げて取り組んでいたのかが垣間見れる。文章が如何に素晴らしく、力強く、多彩で、その構築が如何に大変かがわかる。

そして、その中の一文が、中国語、英語を勉強する僕としては無視できない。
翻訳もこの概念で成されねばならない
伝えたいと思うなら、まずは相手の意味を読みとかなければならない。
簡単なようで、非常に難しいこのプロセスだけど、プロフェッショナル意識を持って学んでいかなければいけないな・・・っと思わせてくれた。

とにかくも、自分の生き方と比べてみると、僕ってなんてしょぼいんだ!!っと思わずにはいられない作品だった。


追記:
今回から本から拾ってきた名言を載せていこうと思う。
僕が本を読んでいる時にぐっと来た言の葉。

優れたリーダーとは、優秀な才能によって人々を率いていくだけの人間ではない。
率いられていく人々に、自分たちがいなくては、と思わせることに成功した人でもある。
持続する人間関係は、必ず相互関係である。一方的関係では、持続は望めない。

ローマ人の物語より

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